なぜ私は、決算書を見ずにホームページを作らないのか——売れるホームページは「利益」から逆算する
森まりあ(AI×新規自動集客® 構造設計)
30秒でわかる、この記事の要点
- ホームページは「会社案内」ではなく、誰に来てほしいか・何を前に出すかを決める「経営の意思決定」です
- 問い合わせには「増やすべきもの」と「増やしてはいけないもの」があります。利益の残らない仕事ばかり増えると、忙しいのに儲かりません
- だから私は、デザインの前に決算書(数字)・時間・商品・人・未来の5つを見ます
- 作り直す前に、記事後半の「5つの質問」に紙で答えてみてください。詰まったところが、デザインより先に整える場所です
ホームページ制作の相談を受けると、多くの経営者は最初にこう言います。
「今っぽいデザインにしたい」
「スマホで見やすくしたい」
「問い合わせが増えるようにしたい」
もちろん、どれも大切です。
ただ、私はそこで、デザインの話には入りません。
私は、決算書を見ずにホームページを作ることはありません。
ふつうの制作会社が最初に見るのは、こういうものです。
- デザインの参考サイト
- 流行の色やレイアウト
- 競合のホームページ
- キャッチコピーの候補
私が最初に見るのは、こちらです。
- 決算書——どの商品で売上を作り、どこで利益が残っているか
- 時間——社長とスタッフが、どの仕事に時間を失っているか
- 商品——なぜそれを売りたいのか。何がこだわりで、競合と何が違うのか
- 人——事務や裏方を支えるメンバーの性格と、得意なこと
- 未来——1年後、3年後、5年後、10年後に、どうなっていたいか

こういう順番で作る制作会社を、私はほかに知りません。
だから今日は、なぜこの順番なのかを書きます。読み終わる頃には、ホームページを作り直す前に何を整えるべきかが、見えているはずです。
「数字は苦手」でも、大丈夫です
こう書くと、「数字は苦手だ」と身構えた方もいるはずです。
そして、もうひとつの気持ちも、たぶん知っています。
過去にホームページへお金をかけて、売上につながらなかった。
きれいにはなった。でも、何も変わらなかった。
だから次こそ外したくない——。
これは、あなたのせいではありません。
「作って納品したら終わり」という業界の仕組みの中では、ホームページは"きれいな会社案内"で止まります。誰も、あなたの決算書までは見ないからです。
実際、私のところに相談に来る会社のほとんどが、ホームページからの売上がほぼない状態で来られます。持っていないのではなく、持っているのに、売上につながっていないのです。
ホームページは「会社案内」ではなく「経営の意思決定」
ホームページは、じつは多くのことを決めています。
- 誰に来てほしいか
- どのメニューを前に出すか
- どの価格帯のお客様を集めるか
つまり、経営者の意思決定を、外に向けて形にしたものです。
だから、問い合わせには2種類あります。
増やすべき問い合わせと、増やしてはいけない問い合わせです。
低単価で、時間がかかり、利益が残らず、スタッフの負担が大きい仕事ばかり問い合わせが増えたら、どうなるか。
アクセスは増えた。予約も増えた。
制作会社の報告書では「成功」です。
でも、経営としては失敗している可能性があります。
ある美容院の話——忙しいのに、儲からない
地域の美容院を想像してください。
予約はそこそこ入っている。スタッフも忙しい。評判も悪くない。
それなのに、月末になるとお金が残らない。
このとき多くの人は「もっと新規客を」と考えます。
でも、美容院の売上は「人の時間」に縛られています。
同じ90分で、こう変わります。
| 90分の中身 | 売上 | 時間当たり |
|---|---|---|
| カットとカラーだけ | 12,000円 | 8,000円 |
| 髪の悩みを聞いて、質の高いトリートメントを提案 | 15,000円 | 10,000円 |
| 仕上がりを保つホームケアまでつながる | 18,000円 | 12,000円 |

客数は増やしていません。
スタッフの勤務時間も増やしていません。
同じ90分の、中身が変わっただけです。
そして、この「価値が伝わる順番」を来店前に作る場所が、ホームページです。
悩みから入る。理由を説明する。変化を見せる。それから価格。
これなら価格は負担ではなく、自分の髪への選択肢になります。
何を売れば利益が残るのか。どのお客様に来てもらうと、経営が良くなるのか。
それが決まって、はじめてデザインの出番です。
(「決算書のどこを、どの順番で見るか」の実践編は、メルマガで順に配信しています。急ぎませんので、必要になったときに、この記事の下からどうぞ)
決算書を見たあと、私が組み立てている4つのこと
数字を見るのは、入口にすぎません。
そのあと、4つを組み立てます。
ひとつ目は、設計図です
最初に見た5つ——数字・時間・商品・人・未来——を、一枚のロードマップにします。
初年度はどの「売れる流れ」を作るか。2期目、3期目に何を足すか。
ホームページは、この設計図の一枚目です。
ふたつ目は、「今は買わなくていい」と言うことです
ITの中身が分かっていると、逆のことが言えます。
「このツールは、御社の今の段階では、まだ要りません」
足し算の提案は、誰にでもできます。
引き算の提案は、中身が分かっている人にしかできません。
自走を目指すなら、道具より先に決めることがあります。
- どの人を育てるか
- どの業務を社内に残すか
ここが決まると、ノウハウが会社に積み上がっていきます。
みっつ目は、自分で先に試すことです
新しいAIや道具は、クライアントに勧める前に、私が自分で徹底的に触ります。
とくに「予算が限られた会社で、最小のコストで最大の結果を出すには、どう組むか」。
泥臭い時間です。
でも、自分で転んだことのない道具を、人に勧めることはできません。
ITはパズルのブロックのようなものです。
どう組めば売上が伸びるか。休眠していたお客様が戻るか。リピートにつながるか。
組み合わせの判断力は、実際に触った量で決まります。
よっつ目は、川に石を置くことです

いまの情報社会は、新しい道具やアプリが毎日生まれては流れていく、川のようなものです。
お客様も、その流れの中を流れていきます。
逃がさないために、川のどこに、流れを緩める石を置くか。
どうやって、自社へ導くか。
この絵は、世の中の流れと、御社にしかない情報(強み・課題・現場の実感)を掛け合わせて、はじめて描けます。
ふたつが混ざって、ようやくビジネスという頑丈な家が建ちます。
流されない家です。
作り直す前の、5つの質問
ホームページを作り直す前に、この5つに答えてみてください。紙に書くだけで十分です。

- いちばん利益が残っている商品・メニューはどれか
- いちばん時間を取られているのに、利益が薄い仕事はどれか
- 増やしたい問い合わせを、一文で言えるか(「◯◯に悩む◯◯な方からの相談」)
- 増やしてはいけない問い合わせは、何か
- いまのホームページは、1と3を前面に出しているか
答えに詰まったものがあれば、そこがデザインより先に整える場所です。
全部すらすら答えられた方は、ホームページの構造はもう半分できています。あとは見せる順番だけです。
私の線引き
ここまで読んで、「決算書まで見てもらうのは、ちょっと怖い」と感じた方もいると思います。
決算書を人に見せるのは、裸を見せるような感覚があります。だから、無理に全部を見せる必要はありません。上の5つの質問は、決算書がなくても、社長の頭の中だけで答えられるように作っています。
私が28年、営業も広告もせずに、紹介と口コミだけで2,600社以上の経営者とやってこられたのは、腕がいいからというより、この順番を守ってきたからだと思っています。
数字を見る。構造を決める。それから作る。
派手ではありません。でも、これを守ると、ホームページは会社案内ではなく、経営を動かす仕組みになります。
最終的に目指すのは、私に頼み続けてもらうことではありません。あなた自身が「うちはこの仕事を増やす」と、自分の言葉で決められるようになることです。
最後に
ホームページをきれいにする前に、経営の構造を見直す。
そこから、本当に売れるホームページは始まります。
派手さは真似できます。順番は、真似できません。
あなたの会社の90分が、いまより少しでも重く実りますように。
毎日コツコツ、一歩ずつでも、じぶん進化していきましょう。
